カモンマイセレクター

大型連休を利用して自分探しに努めているわたくしの昨日今日明日(映画とかじゃなくて、谷村新司のやつ)。

● 東京近郊に行った折、ショーツ祝いを贈った友人Aと上野散策。我々の共通の友人である妊婦用に安産お守りを買ったり、袋に魅かれてパンダ焼きを買ったり、不忍池でアヒルのかわいさを再認識したりした後、Aの彼氏(歯医者帰り)を紹介され、ルノアールでお茶。
この人は初対面で座敷童子様のわたしが「西郷どんと写真を撮りたい」と自分でも意図がよく分からないことを言っても「あ、じゃあオレも記念に撮っておこう」と西郷隆盛像を探してくれるような、気遣いの出来るまっとうな方だったのですが、わたくしは生来人見知りなうえ、取り柄といったらFカップなことと下品用語にちょっと詳しいことくらいだし、さらにAの彼氏もおしゃべりなわけではないらしく、まあ話が盛り上がらない。緊張のあまり、「男の人って、子ども欲しいものなんですか?」とセクハラ質問をしてしまいまんた。
イヤAが幸せに結婚してきゃわいい子どもを産んでくれたら嬉しいのだが、こんなんじゃあ新婚さんに「子どもはまだなの?いいわよぉ子どもは」って言うおばはんじゃない!先日会社で自分がセクハラされたばかりだっていうのにアタシったらもうこのくされ脂肪が!
失礼があったときのために、とAに京都土産をたくさん渡しておいたので、それでチャラにしてもらえるとありがたい。ほんとごめんなさい。わたしのことは一刻も早く忘れ、ふたりで愛を深めてくださいネ☆


六本木ヒルズにエゲレスの現代美術を鑑賞しに行く。こういった前衛的で権威に裏付けされたものを観に行くという、その行為だけでもうハイセンスな人になった気がするので、我ながら心が貧しいなと思います。
ここを見ていただければなんとなくお分かりになるかと思いますが、作品自体は現代美術といっても難解なだけではなくて、わたしのような素人にとっても「色がキレイ」とか「MTVみたい」「アートって結局はトンチか」「このアーティスト、モテモテなんだろうね」「そりゃあもう日替わりだよね」とかそれなりに面白味を発見できる、興味深いものが多かったです。

中でもわたしがとても気に入ったのがヴォルフガング・ティルマンスという写真家の「I don’t want to get over you」という、たぶん電車の中から撮った写真で、たぶんロマンティックが止まらない気持ちで撮ったんだろうなあと思います。邦題だと「君を忘れたくない」ですからね。岡崎京子のマンガにありそうなちくちく感です。上記にリンクしてるページの真ん中あたり、右側にある大きな写真がそれです。黒っぽくなってしまっていますが、すごくキレイな、泣いてしまいそうな色です。ポストカードを買ったので、拡大コピーして部屋に貼ろうと思います。


●尻子玉を抜かれたのは、同時開催されていたサスキア・オルドウォーバースという人の映像作品で、本邦初個展らしいのですがこれがあなたものごっつい幻惑世界でしてね。クリス・カニンガムの静謐な悪夢世界から具象性を抜いて、ミシェル・ゴンドリーのアナログでありながら緻密な手作り感を突き詰めた具合と言いましょうか。
一応物語になっていて、ナレーションが入るのですが、これもまたまったく抽象的というか行間が読めないというか、意味が分からなくもただ美しい映像と併せて鑑賞していると、手をじっと見つめ続けている時に得られる、ヤバい精神状態の入口に立っている気持ちになってきます。「プラシーボ」という方は特に白が基調の構成だけに、浮遊感が高くて観ているうちに瞳孔が開きっぱなしになってきます。6分くらいの作品なんですが、これ以上の長さだったら発狂する人が出るはず。
しかしほんとに圧倒的です。明け方目が醒めて、妙に頭は覚醒しててフル回転していて、なぜだか不安で寝付けなくって、でも朝起きたら何考えていたか忘れてるっていうあの感じ。人によってこのへんの感覚は違うんでしょうけれども、とにかくバビります。浅田彰も観てました。
しつこいですがこれ、関東甲信越にお住まいの方はぜひご覧になるといいと思います。入館料が高いですが、気になる異性を誘えば「アラ、意外と知的じゃない?」と株が上がりますし、美術館の入館券で今をときめく展望台「東京シティービュー」にも入れますので、海抜270メートルの強風の中で「吊り橋効果」が得られ、もしかするともしかするかもしれませんよ!?ひょー!


それではみなさま、残すところあとわずかですがステキな黄金を!